んと増します。
 しかしながら八卦見は自分の神経が一体どんなものかということは一向知らぬものであります。
[#地から1字上げ](「マロニエ」大正十四年六月)

   油絵と額縁

 自分の気に入った作品は何とかしてそれに似合った額縁に入れたいと思う。人間が帽子を買うということでさえ随分しばらくは考えるものだ。世の中の人がまったく自分に似合った帽子を買って冠っているを見て常に私は感心しているのである。
 紳士は紳士、婚礼や葬式の山高帽子、紙屑屋は紙屑屋、探偵は探偵、絵描きは絵描き、茶人は茶人、不良少年は不良らしく、各々その個性にしたがって、自発的に帽子の種類をちゃんと択んでいるから感心だ。またそのソフトや鳥打ちの凹まし方や冠り方等も、皆それぞれの注意が職業や趣味によって工夫されているようだ。いつか広津和郎氏が築地小劇場風の冠り方ということを手真似までして話してくれたことがあったが、なるほどその鳥打ちの冠り方はさも左様らしくあったので大変面白いと思ったことがあった。
 左様に人間と帽子との関係が密接なように、絵と額縁との関係も密接に行かなければならないのだ。ところでわれわれが額縁を買いたい
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