い形体を具えているからややこしいのだ。人だまでさえあったなら、すぐああそうか君もか俺《おれ》もだ、そんなら仲よくやろうやないか、ソヤソヤという位で、早速了解がつくわけであるのだ。
全く人間も魂だけのものなら面倒臭い言葉なども使う必要もなし、文章など考えて書く必要もなし、第一食事のために働くという馬鹿気《ばかげ》た仕事がなくなっていいのだ、恋愛などもすぐ心と心が通じるのだからジメジメとした悩みなどもないのでいい、私は好きだと魂を光らせると嫌よと向うから信号があるから、ああそうですか、でおしまいだ、わけのない話しだ。
ところで画家の魂なども商売人とか相場師の魂と雑居しているとやはり魂は住み心地が悪い、鯉《こい》が空気と住んでいるようなものだ、鯉は水と住まなくてはならない、即ち魚心《うおごころ》水心《みずごころ》というて心と心と相通じる事がなくてはやり切れない、魂はおなじ魂を呼ぶからだろう。そうだ、うむ、よし、と直《す》ぐ通じなくてはならない、それがこうだろうといっても、さようですかいな解《わか》りまへんでは癪《しゃく》が起る、これが度々重なると魂は衰弱を来《きた》す、神経衰弱というのは
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