ルを西へぬけるとパット世界が明るくなるのは愉快だがワッと大阪弁が急に耳に押し寄せてくるのが何よりもむっとするのであった。
そのくせ自分は大阪の真中で生れた生粋《きっすい》の大阪ものであるので、なおさらにがにがしい気がして腹が立ってくるのであった。それだから、学校におっても大阪から来ている奴とは殆《ほと》んど言葉を交えない事にしていた。日本人が西洋へ出かけると日本人に出会う事を皆申合せたように嫌がるのと同じようなものだ、知らぬ他国で同国人にあえばうれしいはずであろうと思うが、事実はそう行かないのだ、巴里《パリ》にいる日本人は皆お互《たがい》から遠ざかる事を希望する。それはわれこそ一かどのパリジャンになり切ったと思っているのに、フト日本人の野暮《やぼ》臭いのに出会《でくわ》すと、自画像を見せ付《つけ》られたようにハッと幻滅を感じるからだろうと思う。それは無理のない事で全く悲劇でもあるのだ。
人間が霊魂という、単に火のかたまりであって青い尻尾《しっぽ》を長く引いているだけのものであれば、フランス人も、日本人も、伊太利《イタリア》人も、ロシア人も、支那も印度も先ず大した変りはないので、知ら
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