けのものでなくてはならないでしょう。
 支那のものでは、よく紫檀《したん》の縁がついています、上品でいいものです、古いビードロ絵にはそれは堪《た》まらなくいい味な、古めかしい縁がついています。
 私は額縁屋へ喧《や》かましくいって造らせたりしますが、どうもいう事を聞かないので癪《しゃく》だから致方《いたしかた》なく、私は場末の古道具屋をあさって、常に昔しの舶来縁の、古いのを探しまわるのです、古額は案外美しいものがあります、昔し渡った鏡のフチなど今も散髪屋などによく残っていますが、なかなかいいものがあるのです、こんなものは古道具屋では、あまり価値がないものですから、気の毒なようなねだんで売ってくれます、こんなのを常に買い込んで置いて、時に応じてその画面の寸法に合せて、額縁屋で切らせ、組み合させるのです、すると絵にピッタリ合った味が、成立するのであります。先ずガラス絵としての大略の事を申したつもりです、長くなりますからこれで止めときます。

   散歩雑感

 私は毎晩散歩する癖がある。国枝君などは散歩は大嫌いだという。第一歩などという言葉からして虫が好かないという。なるほど考えてみるとあ
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