せん。
ここに、作画の上に注意すべき事は、何しろさように小さい作品である上に、殆《ほと》んど想像で仕上げるものでありますから、例えば子供の肖像を描く場合、それは下絵として充分正確な素描が必要であって、芸術として厳重な考えを持って、やらなくてはいけません、どうかしてそれが、子供雑誌とか、婦人雑誌などの、甚だセンチメンタルな挿画《さしえ》となってしまう事も、怖《おそ》れねばならないのであります、この種の挿画となってしまっては、も早や、ガラス絵も何もかも、皆台なしとなってしまうのであります。
要するにガラス絵といっても、少しも他の油絵や、水彩と変わりなく充分の写実力を養って後《の》ちでないと面白い芸術品は出来ないでしょう。
食物でいえばガラス絵などは、間食の如きものでしょう、間食で生命を繋《つな》ぐ事は六《む》つかしい、米で常に腹を養って置かなくてはなりません。
六 額縁の事
ガラス絵とその額縁との関係は、なかなか重大であります、何んといっても、二、三寸の小品の事ですから、これに厭《いや》な額縁がついていれば、その小さな画面は飛ばされてしまいます、充分中の光彩を添えるだ
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