ましたが、何んといっても職人の仕事でありますから、本当に鑑賞の出来るという出来|栄《ば》えのものは頗《すこぶ》る尠《すくな》いのであります、その中《うち》日本出来のものよりも支那出来の古いものに頗るいいのがある事も知り、西洋からの渡来品というのも見たりするうちに日本出来である処の散髪屋向きのもののつまらなさがわかるようになって来ました。
二 ガラス絵の種類
日本へ入ったガラス絵の法は、阿蘭陀《オランダ》からか支那からかあるいは両方から入ったものか、私には今よくわかりませんが、何しろ輸入されてから、例えば当時の銅版や、油絵の如く、江漢《こうかん》とか、源内《げんない》とか、いううまい人たちがこの法を生かしてくれていたら日本のガラス絵もも少し何んとかなって、美しいものが残されていたにちがいありません。
全くいい技術家がこれを試みなかった事は惜しい事でした、しかしながら、日本でも職人の仕事としては非常な勢で作られたらしいのです、それは今の名勝《めいしょう》絵葉書の如く、シネマ俳優の肖像の如く盛《さかん》に作られ、そして、それは逆に外国に輸出されたり、あるいは散髪屋風呂屋の懸
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