ってもいいでしょう。
 けれどもそれもただ何かの余興とかあるいは酔興でやるのはいいが、本心でやっているのを見ると少し嫌味でたまらないという気がするものです。
 それも思い切って、大人が小児を見てこれは天真であると感じて早速一夜、寝小便という仕事をやったとすると、どうもあまりに天真であり過ぎて随分迷惑を感じずにはいられません。寝小便が仕事として成り立つかどうか知りませんが、あれも人間の仕事とすれば仕事となるかも知れません。
 仕事といっても世界には無数にあって、われわれにはとうてい考えも及ばぬほどあるでしょうが、芸術などいうものもやはり仕事の一つでしょう。芸術などといっても非常に範囲の広いものですが、まず芸術という種類からすべて芸事というもの、それから随分高いと称する、まず何といっていいか、理想の高いちょっと常人の近寄れないという高遠な芸術というところまであるようです。それを詳しく調べると、美学者という専門にそのことばかり考えたり調査している役人もあるので、その人達に聞けば国勢調査の如く判明するでしょうが、ともかくいろいろあるようです。
 その種類や高下はともかくとして一般に芸と名の付く
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