たり、ダンスしたりしている図を、見かけるのであるが、今の日本の何処《どこ》へ行けばこんな変な浄土があるのかと思っておかしくなる事がある。
 私は裸婦を思うと同時にいつもこの変な矛盾を考えて多少の恐れをなすのである。

   芸事雑感

 仕事の性質によっては老人が適しているものと、青年がこれに適しているものとあるようです。あるいは小供が適しているもの、女が適しているものなどがあります。
 童謡を歌ったり、鼻を垂れたり、寝小便をする仕事は何といっても小供にはかなわない。女郎とか妻君とかいう仕事は男はどうも代理が勤めにくいようであります。
 小供とか女とかという種類になるとよほど区別が明らかであるように見えますが、人間の少年と中年と、老年とにおける仕事の差別などはかなりややこしいので、つい少年が中年らしい仕事をしたり、中年が小供の真似をしてみたり、老人が青年の仕事を奪ったり、青年が老人の真似をしたりなどすることもよくあります。
 これは好きでやるなら女の真似でも小供の真似でも老人の真似でも、何の真似でも勝手次第にやって少しも差し支えのないことであります。好きでやるなら青年が女郎の仕事も手伝
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