こで折角吸うた冷い空気が心の底で煮えつまるのである。幸福と行進曲が煮えつまるのだ。
もし私の心臓に穴がなくて、酒がうんと飲めるものだったら、私はそんな時、無神経な旦那はんの頭と、LMNと芸者の頭を「ガン」となぐって帰るかも知れない。あるいはすこぶるよろしく調和して、旦那から一人の芸者を拝領に及んで舌を出しながら次の一間へと引き退がることとなるかも知れないと思う。どうも結局飲めない僧帽弁がいつも一番いらない苦労をするようである。
[#地から1字上げ](「不調和」昭和二年二月)
滞欧の思出
心からあなたを愛する
私は元来、しゃべる事が下手《へた》だ、おまけに大阪弁だから、先ず日本語としても殆《ほと》んどなっていないといっていい位いだ。西洋人でも随分|鮮《あざや》かな東京弁を使う人に時々出会う事があるが、全く私は恥かしい。それはもう、なんやこう、けったいな感じがしてどむならんとかいったら、これは正確な日本語を習った毛唐《けとう》には、全く見当がつかないだろう、日本人にも通じ難いかも知れない。
東京にいる間は、それでも多少は東京風にものをいっていたものだが、家へ帰る
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