んたな、鬱陶しい顔せんと、早ようガッとあけなはれという。旦那はんは、こらおやじなどいわれている。
 何だかもう、これからさきは叱られに来ているような具合で、正気なるものは忍従か逃げ出すかより他に途はないことになってしまう。ところでここで逃げて帰っても、LMNOPQも、誰も知らない場合が多いのだ。また逃げ出してもいいという約束らしいものもあるようであるし、あるいは逃げ出さぬように警戒して終いまで忍従させようとする暴君もあるようだ。
 ともかくもこんな時に往来へ逃げ出して、冷い空気を胸一杯吸うて自由な天地を仰いでみると、ほっとして心の底から幸福が湧き出して来る。私の心臓は安らかな行進曲を奏するのだ。結構な幸福はまったくどこに落ちているやら、さっぱりわからない。明るい世界に変なものがあって、暗い往来で幸福を拾ったわけだ。
 そこで私は一人ぶらぶらと、自分の金で紅茶を一杯飲んで、有難い自由な空気を遠慮なく吸いながら帰るのだ。
 ところでここで困ることには天狗につままれた如く、今見て来た変に浮き上がった明るい世界と自分が帰って行こうとする自分の世界とが、あまりに調子のとれないことであることだ。こ
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