につとめたのであります。
 ところが、如何にも、その頭のくろんぼ[#「くろんぼ」に傍点]を見ると我まんがならないのです、私はまた、毎朝婆さんのお化粧が気にかかるのでした、彼女は実に長い時間鏡に向って、娘のする姿態で以てお湯を使うのであります、お化粧中は口三味線《くちじゃみせん》で浄瑠璃《じょうるり》を語るのですから堪《たま》りません、私は全くこの草鞋裏の親切だけは御免だとつくづく思ったのであります。
 それから一週間ばかりの後でした、私は例の如く絵の道具をかついで出ようとすると婆さんは私を呼びました、実はこの間から絹布団を作ったのであるが、初めには男の人に寝てもらうとよいとの事|故《ゆえ》、今晩はぜひとも寝てはくれまいかとの依頼でした、私は何心なくそれは結構な事で、私は絹の布団などへはかつて寝た事はないのですからよろしく頼みますと申しました。
 その夜、私は部屋へ帰って見ますと、一向絹布団の影も見えませんので私は婆さんに、一体絹布団はどうしたかと聞いて見ましたら婆さんは、ああ、それはあんまり重たいさかい私の部屋に敷いてあるといいますので、私はこれは弱ったと思いました、あのくろんぼ[#「
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