私は日本服を着る以上は、正式にシャツ類を排斥したいと思う、ところでシャツなくては私の冬はあまりに残酷なのだからやむをえない、私は洋服を主として用いる、その洋服でもあまりの厚着はいけないそうだが、日本服の不体裁に比して遥《はる》かにましだと思う。
 なお和服をシャツなしで、われわれ骨人が着用に及ぶと、かの痛ましくも細い腕がニョキニョキと現われるので、如何にも気兼ねであって、電車の釣革などは平気ではとても握っていられない気がする。
 私はしばしば電車の釣革にぶら下る女の何本かの腕を観賞する事がある、時には私同様骨張ったいけないものもあるが、先ず大概はわれわれ骨人が憧憬《どうけい》してやまないところの、充分な腕を並べていて、その陽気のために、羨《うらや》ましくも悩ましい気に打《うた》れるのである。
 結局骨人は綿入を重ねて火鉢を抱き、股引《ももひき》を裾《すそ》から二、三寸はみ出させて、牛肉のすき焼きをたべるのだから残念ながら粋《いき》とか通《つう》とかという方面からいえば、三|文《もん》の価値もないのであるが、といって、私の心が嫌うものを私が勝手にどうする訳にも行かないのだから万事致方のな
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