い事である、やはり寒気、冷気、陰気、骨、皆禁物だ、だから魚は鯨、鯨は魚ではないそうだが……あるいはまぐろ[#「まぐろ」に傍点]位いに止《とど》まり、あゆ[#「あゆ」に傍点]や鯉等は針を食する感があっていけなく骨に近い女がいけなく、そして骨のない野菜と果実とチョコレートと芋《いも》と豆腐と牛豚に好意を持つ次第である。

   M君のテンプラ屋について

 昔から器用貧乏と申しまして、ちょっとした絵の一つくらいは描けたり犬小屋くらいはちょっと半日で体裁のいいのを作ってみせたり、ちょっと歌も作れたり、あるいは音曲、手踊、発明にいたるまで何に限らず一応はやってみせるという風の人物はかなり多いものであります。
 何でもちょっとはやれるということが大変便利であるところから、その近所両隣や町内では、しごく重宝がられます。例えば初午の行燈へちょっと何か描け、浄瑠璃の会をやるからビラ一つ書いてんか、ちょっと万さん雨の漏り止めてんか、ちょっと自転車の空気入れてくれ、アンテナ張ってくれ、鼠を捕えてくれ、余興に出てくれといった風の雑件をどしどし持ち込みます。万さんもこちらが忙しいのでこれが本職かと思い出し、自
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