たのである、その他残ったものは何に限らずこの袋へそっとほり込んでしまうのであった、その手つきがあざやかである処から察してこんな事の常習者らしく思われた、われわれの連中はただぼんやりとその深酷《しんこく》な感じに打《うた》れて静かに眺めているのであった。
 私はこの男の翌日をちょっと考えて見た、袋から吐出《はきだ》されたゴチャゴチャとしたコロッケ、カツレツ、ジャガイモの類を妻君《さいくん》と二人でつくづくと眺める事だろう、どうせ二、三人の小供も覗《のぞ》きに来る事かも知れない、老母というのも、ゆうべの御馳走《ごちそう》は何んやと次の一間よりまろび出てくるだろう、然る処へ不意に猫の奴が現われて何か一つ浚《さら》って走るかも知れない。この猫をどやしつけて取返し、これを煮《た》き直して、小供は学校行きの弁当に入れてもらい、家では今日はお父さんのお手柄で久しぶりの洋食や、という事になるのかも知れない、などと私は馬鹿気《ばかげ》た想像をめぐらした。
 席を立ってから暫時この袋の噂《うわさ》で賑《にぎや》かだった。或|物識《ものし》りの説では、この頃あの袋は随分大阪では流行しているのだそうだ、名も宴
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