一生涯はチャンチキチンでも、ドンドンでも何んでも来いだと思った。
 今、私はこの年輩となって、なお阿呆《あほ》らしくも、この囃子連中は芝居のチョボの如く、私の頭の一隅《いちぐう》に控えている。そして或る重要な要件であって、しかも自分にとっては頗《すこぶ》る興味がないといった場面においては、必ずこの連中は出演に及ぶのである。
 それで私は重要な用件を聞き洩《もら》したり頼まれた用事を皆忘れてしまったりしてしまうのである。

   最近の閑談

     〇

 袋にもいろいろある、紙袋、酒袋、オペラバッグ、四季袋、足袋、カポタングレース等。しかし私は最近珍らしいケチ[#「ケチ」に傍点]な袋を見た。
 それは大阪の芸術家や紳士を集めた或《ある》招待会の席上での事だった。一人の工芸家らしい男は、運ばれる料理の主要なもの、例えばコロッケの塊《かたま》りなどには決して手をつけないでその周囲のお添えものばかり食べるのであった、それは多分、食慾がないからの事かと思っていた、すると不意にテーブルの下から丁度海水浴に持参するような手提袋《てさげぶくろ》を取り出し、手早くコロッケをその中へねじ込んでしまっ
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