うものは、例えば二科にしてもまず五〇銭の入場料さえ支払うと、日本全体の今年度の絵画の進歩、方向、その他一切の技術から遠くフランス画壇の意向から新柄のお土産にいたるまで、ことごとく眺めつくすことが出来るはなはだ便利な封切りものの常設館である。
ここで秋の封切を一度観賞しておけば、若い男女は日本の芸術からフランスの芸術のことまでも一年間は有効に話の種として交際することも出来る。
もし私が若い男だったら、やはり断髪の女性とともにあの会場を散歩してみるであろう。そしてピカソ、ドラン、シュールレアリズムは、といったことを口走りながらその無数の大作を私達の背景として漫歩するだろう。そしてその中の一枚を彼女へのお土産として買ってやるに少し油絵は高過ぎる。贈り物としてはもっと彼女が本当に喜ぶであろうところの、安くて美しいハンドバッグが銀座へ行けば並んでいるから。
そこで私達は絵葉書と画集を買って、待たせておいた自動車へ埋まるかも知れない。道理で展覧会開催中、あの幾百枚の油絵の中で、何点が売約されるかを注意してみると、まったく驚くべき少数の絵が買われて行くに過ぎない。東京はまだいい、大阪での開催中
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