私はそのつきもののした期間の猫の暗く悪らしき態度を嫌に思うが、しかし止むを得ない彼らの運命でもあるのだから致し方もない。でも猫は五、六日で元の童心へ立ち帰るが、人間は一旦暗くなると一生涯の連続となるが故に、大人も子供も皆この暗い内密の世界に包まれては、まったく明るい太陽も邪魔な電灯にしか過ぎない。猫にも人間にも、どうせ夜の暗さは間違いもなくやってくる。別段奨励しなくてもエロ一〇〇パーセントであなた方を待っています。
しかし自然は都合よく人間の大人の暗さを太陽が落ちて再び昇るまでの間の星の世界へ押し込んでしまっている。そして子供は夜も昼も朗らかな太陽の連続である。
私はなるべくどうかして子供に大人の暗さを早く覚えさせたくはない。そして大人もせめて太陽の下では一切を忘却して永久に童心を了解して、初めて子供の世界をより完全により明るく、愉快にしてやることが出来ると同時に大人は永久に若く輝かしいだろう。
子供とともに笑うためには邪心の必要がなく、子供と妻とともに登る山では暗さの必要がない。子供とともに味わう野球、子供とともに組み立てて遊ぶデルタ、そして活動写真に暗き邪心の必要はない。
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