は日本人が十人ばかりだ。だからまるで日本に居る様な感じがする。
 日本から手紙なぞもパリ宛で来て居る事と思うが、もう二週間程して、パリへ帰ったら、見る事が出来るだろうと思って、楽しんでいる。美川君が送ってくれるかもしれん、手紙は出して置いた。
 うちは皆、たっしゃか、重子もたっしゃか、泰弘も。皆の健康を祈る。
 僕は至って健康である。だれかが西洋へ来ると、空気が乾いているので小便が少くなる。大便は肉食の為めに少くなる、出なくなる、とか日本で聞いたもんだが、中々外国へ来てみたら、そんな事は少しもない。毎日、日本に居る時よりも、大きなババが時間違わず出やがるし、小便などは、ジャアージャーと、よく出るよ。小便とババとをしに、西洋へ来たのかしらんと思う位だ。
 Pension Erichsen 下宿の一週間分のツケを入れて置く。一マルクが一銭五厘だから、安いもんだ。これで食事付きだよ。二百九十六マルクだから、計算したらすぐわかる。

 十一月二十日
 ドイツから巴里へ帰ると、何もかもが華やかで、太陽が明るくて、又春が来た様な気がする。この二三日は又特にぬくい。ドイツへ行く前よりも、帰ってからの
前へ 次へ
全152ページ中131ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小出 楢重 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング