会の空を横ぎっていた時、風呂屋の煙突へ衝き当たると同時に両翼がもぎれて散った。あとには魚のような胴体だけがフワリフワリと動いているのだ。
 二人の飛行家がその上を走ったがやっとパラシュートが開いた。そして二人は電線へ引っ懸ったので私は安心してそのままことのほか朝寝をしてしまった。

     C
 ある夜、死んだ母と私がナポリの街のある宝石商の前へ立ってその飾窓を眺めていた時、火山が爆発をはじめた。ちょうど仕掛花火の如く空へ火焔が吹き上がりシダレ柳が落ちて来た。その花火の中に月が美しく輝いていた。キネオラマみたいやないかと母と話していたのである。母は淋しい顔してだまって眺めていた。

     D
 三越の八階の丸天井の真下を、母が雲に乗った如く平気で歩いている。ちょうどサーカスの空中美人大飛行の光景だった。母の昇天を私は感心して眺めていた。

     E
 ある晩、母が坐っていた時汽車がその膝頭を轢いて走った。私は驚いてその膝を見ると真黒く焼けて火の粉が蛍の如く光っていた。この夢は私の七、八歳の頃に見たものだが、今にその火の粉の色を覚えている。

     F
 白いチョークで雨戸
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