教養ある洋装婦人や娘たちには相当スッキリとした、近代性を発見して私は満足する事がしばしばある。殊に神戸は西洋人と支那人とインド人とフランスの水兵等、あらゆる人種の混雑せるがために、神戸を中心とする女の洋服は多少本格的だ。だが、植民地臭くはある。
私は子供の如く、百貨店の屋上からの展望を好む。例えば大丸《だいまる》の屋上からの眺めは、あまりいいものではないが、さて大阪は驚くべく黒く低い屋根の海である。その最も近代らしい顔つきは漸《ようや》く北と西とにそれらしい一群が聳《そび》えている、特に西方の煙突と煙だけは素晴らしさを持っている。しかし、東南を望めば、天王寺、茶臼山《ちゃうすやま》、高津《こうづ》の宮、下寺町《しもてらまち》の寺々に至るまで、坦々《たんたん》たる徳川時代の家並である。あの黒い小さな屋根の下で愛して頂戴ね[#「愛して頂戴ね」に傍点]と女給たちが歌っているのかと思うと不思議なくらいの名所|図会《ずえ》的情景である。ただ遠い森の中にJOBKの鉄柱が漸く近代を示す燈台であるかの如く聳えている。
大阪の近代的な都市風景としては、私は大正橋や野田附近の工場地帯も面白く思うが、
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