らゆる人情と風景と地球が縮まってしまうことは惜しむべきことだと思う。しかしまあ、自動車のドライヴはその日の天候とテンポの速さの近代味を楽しめばそれでいいのだ。そしてなお車上の親愛なる人間同士が親愛であれば幸甚であろう。とにかく夏はオープンの車体を走らせることが壮快にして晴々していることではある。

   上方近代雑景

「今はもう皆あれだす[#「今はもう皆あれだす」に傍点]、うちの子供にもあんなん買うたろ[#「うちの子供にもあんなん買うたろ」に傍点]」といって漸《ようや》く着せて見た洋服を、私は心斎橋筋《しんさいばしすじ》の散歩で沢山見受ける。即ち女の子は、近所の女給かダンサーの扮装《ふんそう》となって街頭に現れる。その両親は、どうだす、見てんかという顔で歩いている。
 あるいは子供のスカートの裾《すそ》が妙に厚ぼたくふくれているので何かと思って近寄ると、とても長い洋服にウンと縫上げがしてあった。五、六歳の子供だが、多分女学校へ入学してから漸く身に合うに至るだろう。あるいは男の子のズボンが膝《ひざ》の下何寸かに垂れ下っていて上着《うわぎ》に大きなバンドがあり、それへ粋《いき》な帽子を着
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