カにどんな画家が輩出しているのか、寡聞《かぶん》な私は知らないのである。アメリカでは映画と広告美術があれば事は足《た》っているかも知れない。また従って優美な美術家を今更自分の国から出そうとも考えていない如く見受けられもする。彼らは最早や油絵芸術を骨董品《こっとうひん》と見なしているのかも知れない。そしてアメリカ人は、支那の古美術と古画と浮世絵を以《もっ》て彼らの美術館を飾ると同じ心を以てパリの近代絵画の信用あるものを選んで買い込んでいる。先ず最も新らしい、現代らしい頭のいいやり口だといえばいえる。しかしながら万事金の力で不足を補う処の何だか下等にして憎さげな態度はしゃくにさわるけれども、アメリカという国は急に衰微するとは思えない。
とにかく、政府や富豪の力で保護しなければ衰えそうな芸術は、何んと霊薬を飲ませて見た処で辛《かろ》うじてこの世に止《とど》め得るに過ぎなくなるにきまっている。従ってその最盛期におけるだけの名人名工はその末世にあっては再び現われるものでない。ところで油絵芸術はまだ末世でもあるまいと私の職業柄いっておかなければ都合が悪いけれども、本当の事は、私にはわからない。
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