ます。そして牛は牛の世界が一番よいと思い世の中はことごとく牛らしくせよと申します。馬は馬らしくせよと申します。結局馬にもならず牛ばかりにもならず次へ時代は遷って行きます。
人間は年を経て次の時代のものに亡ぼされることの嫌さから相当の老年になり、役に立たなくなってしまってからも、なおしつこく子孫へ無理やりに自分の華やかなりし頃の心をたたき込もうとしがちです。しかしながらいかに老人が強いてみましても次に生まれる赤ん坊は、今日も明日も明後日もそれこそ、引切りなしに恐ろしく理解出来ない考えを抱いて押よせてくるのです。この次の時代を極端に怖れるというならば、生まれてくる赤ん坊をことごとく抹殺するよりほか致し方ないでしょう。
ところでこの日本の現代は左様に異なった種類の人間を含んでいると同時に急激なテンポをもって変化した色々の古道具類を幾重にも混沌と積み重ねております。
西南戦争の心と日清戦争の心と日露戦争の心と、徳川時代の心と、大正、昭和の心もともに、重なり合い茶室と洋館とお寺とビルディングと高下駄と、お茶屋とカフェーと吉原とダンスホールと、色紙短冊と油絵と、四條派とシュールレアリズムと
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