ものを嫌だとはっきりいわないものだからつい食べさせる。結構でんなと顔では悦びながらも相手の好意を無にすることをおそれて、無理やりに胃の方へ押し込んでしまってあとから下痢嘔吐を催し、ついには食べさせた人をひそかに怨むようになったりする。そのくせ顔を見るとはなはだ丁寧に挨拶して、先日は結構な御馳走を頂戴いたしまして、もううちじゅう大悦びでなどいう。
 大阪人の喧嘩は大概の場合、かかる行き方によって組み立てられていくことが多い。
 好きか嫌か、嫌なら止めとけ、馬鹿、絶交だ、というふうに明快にはいかないのだ。
 さあ、どっちでもかまいまへん。まあ、あんさんのお好きな方を頂戴いたします。など体裁のいいことをいいながら、実はあれがほしいと心の中では思っていて、いつまでも忘れないのだからあぶない。
 双方が大阪人ならば、ああそうでっか、お好きなようにと、万事先方の心の奥を承知しながら、とぼけてしまって片づけるが、一方が簡単な人種だったらはなはだ不都合な取り合わせとなる。
 このややこしい言葉を持たない地方の人達が、至極簡単に僕は嫌だ、それをくれ、いらない。金を貸せ、いやだ、よし、馬鹿野郎、帰れ、とい
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