ないところの人体の形の構成をことごとく表現し描き出すことは、もっとも困難な仕事とされています。したがって裸体習作の困難は、写実を常に本領とするところの油絵の基礎工事であります。それは画学生の初学から一生涯つきまとうところの基礎工事であり難工事でありましょう。
[#地から1字上げ](「美術新論」昭和四年六月)
亀の随筆
近代の看板は、主としてペンキ塗りである。それは変色しやすく、剥《は》げやすい、しかしそれで構わないので、剥げたらまた塗るだけの事である。この目まぐるしい近代の街景にあっては地味にしてお上品なものは人の目には止《とま》らない。特に円《えん》タクの窓からの走りながらでは、よほどのものでない限り人目をひかない。何かなしに近ごろは、人の頭を撲《なぐ》りつける位いの看板を必要とする。電燈の明滅の如きはちかちかとして小きざみに通行人の神経を撲っているのである。
最近のドイツあたりから来る新しいポスターにしてもがさようである。あの表現派風の円や棒、立体、縞《しま》等を配置する処の一見驚くべき大柄である処のものは皆、人の頭を撲る役目を勤めているのである。
ちらと見た瞬間に
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