、あんなけちなところへは永久に帰りたくありませんよ、私はフランスの地面に立っていること[#「こと」は底本では「と」]それ自身が私の幸福なのですよという。この喧嘩は常に水かけ合いに終わって少しも収まらなかった。
結局、一方はパリを憧れている日本の奴らにろくなものはいないといって日本人を避けようとするし、一方ではあまり日本人同士集まっていては、言葉だって決して上達はしないし、けちでうるさくて堪らないといって日本人を避けようとする。両方から避け合って、やがて遠ざかる傾向がある。集まれば喧嘩するといったふうが多いようだった。
しかしながらこうして日本人を避け合って、自分一人は、天晴れのフランス人になり切れるかというと、それは何ともいえない。内地を朝鮮人が和服を着用して歩いているよりも、も少しおかしいかも知れないが、私はフランス人でないから何ともそれは申し上げる資格はない。
ところが左様に外国にいて日本だ、パリだ、と喧嘩したものが、いつか[#「いつか」は底本では「いつ」]どうせ日本へ帰ってくることになるが、日本でもやはり左様な喧嘩をつづけるのかと思うと、決して左様でもない。お互いにあの時は
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