今までは夏痩して細長くて、猫として禁物の瓜実顔であったものが、たった十日あまりの不在の間にその重さを著しく加え、顔はまるまるとした丸ぼちゃ型に変化してしまっていたことであった。
 してみると、秋のきざしが、ほのかに現れただけで、猫は丸ぼちゃとなり、私の血は腹の中へもぐり込み、血の気を失うことは確かである。猫と私との変化はちょっと相反している如く見えるが、猫の丸くなるのはもって冬への用心であり、私は寒気を覚えて、何か重ね着をして丸くなろうと考えるわけである。

 奥へ逃げ去るのは私の血液ばかりでない。この半月ほどの季節の変化によって、私の家の近くの草原の凹みや古池に溜っていた水という水はことごとく地中深く吸い込まれてしまい、草原のじとじとした湿りが乾燥し、私の家の井戸水のかさが減じてしまうのが毎年初秋における常例である。そして次の初夏のころまで草原と池は底を現しているのである。すると近くの人々がその凹みを塵芥の捨場と心得て、ブリキの空箱などが山と積まれる。その不潔な山が春から夏への季節には再びなみなみと湧き上がる水の底へ沈んでいきその上を蛙や赤腹が泳ぎ廻るのである。地球の地下水を私は人間
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