デルを描く。
 二月、画室の前の空地の枯草の下をほじくると、若草の頭がすでに用意されているのに驚く。
 三月、まだうすら寒い陽光である。でも近くの池の底に沈んでいる空缶や茶碗の破片の間に赤腹がのろく動いているのを眺める。心のぬくみ少しづつ[#「づつ」は「ずつ」の誤記か]動くを覚える。
 四月、そわそわうそうそと血の動揺を感じる。何かじっとしてはいられないといって何をしていいのかわからないという苦悶を感じ、ただもやもやと暮す日多し。
 五月、光と空気と、青葉と温度が身に適し何となく爽快を感じる。少しずつ神経の安定を覚え、何か大いに風景写生でもやってみたく思う。
 六月、天気が続く、本当に何かしたいと思っていると梅雨の季節に入る。雨を眺めて何となく悩み多くなる。美人を美しと見る日多し。
 七月、この月の前半、雨なお多く、雷も鳴る。私は夕立ちを好む。
 ところで何故か毎年、この頃より生活上の夏枯れの節に入る。何か売り払ってみたくなる。結局なるべく外出を見合わせ、蚊に食べられたところをかくことをもって楽しみとなす。
 八月、毎年の行事である研究所主催の講習会が一日から始まる。朝寝は禁物、九時か
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