私をたいへん強めまた温めてくれました。私は運命を忍受して何もかも耐えしのびます。私には愛と運命とに対する微妙な心持ちが生じてきました。そして私はますます人生に対して積極的になります。
私は人生を呪うことができません。これ私の最深の恵みです。どうぞ私のために祈って下さい。
私はあなたのアリストクラチックな高雅順良なひととなりを、心から懐かしく思っています。どうぞふしあわせな私を忘れずに祈って下さい。私はあなたや正夫君らと一緒に仕事をする時が来るような気がしてなりません。私は父が私に与えてくれる財産を全部投じて、私らの生の歩みのために、そしてそれによって他人を潤おすために雑誌でも出そうかと思っております。そんなふうな仕事ででもなくては私のような病身なものの他人のために貢献する道はありません。
けれどもそれも神のみ心でないならばいかになるかわかりません。さきのことはとてもわかりません。
私はこの二、三年の引き続いての苦難によってたいへん試練されました。そして私の心のなかの虚栄心がどれほど焚き殺されたか知れません。私は運命に甘える心、おのれに媚《こ》びるすべての思想感情をば神前に釘づけ
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