て感謝して受けて暮らしています。私はこの頃この生活法に大なる暗示を受けました。そして社会主義はこの信仰に立ちたる時、最も自発的な、内面的な調和を得、神の国の地上における建設はかくしてのみ得られるのではないかと思われだしました。私は、信仰の大切なこと、そして徹底した深いキリストの心地が感服いたされます。私は、けれどなかなか信じられません。パンを神にデペンドする大勇猛心が出ません。私はしかし私の将来を純粋の信仰生活のなかに築きたい気はもはやコンスタントな深い根を張ったねがいになっています。私はそちらの方角にしだいに深入りいたします。私は心の熟す期のいたるのを待っています。「善くなろうとする祈り」はあれから大分書きました。後もう二つ三つ書けば私の書きたいことはみな書くことになります。
 謙さんはどうしていますか。よろしくお伝え下さい。いずれ手紙を出します。私は姉の帰郷するまで庄原を出られますまい。苦しくなると出ようか出ようかと思いますが、やはり出ないでしんぼうするほうがよいと思われます。
 大切になさいませ。[#地から2字上げ](久保正夫氏宛 十月二十五日。庄原より)

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