いだ私の宅にとどまるのが私の道であろうと思います。それで私は今は東京で姉と家持ちをすることを考えています。艶子と三人で、郊外に一軒借りて、女中をひとり置いて暮らしたら、かえって経済的にもなって好都合であるまいかと思われます。その事について私はこの四、五日のうちに相談して決める気でいます。でおハガキの家はしばらく取り決めずにおいて下さいませ。このような内輪のことまであなたに話さなくてもいいのですけれどつい話してしまいました。みんな私の上京するのを悦び待っていて下さるのですから私はなるべく上京したいのです。どうもさまざまな障りができて私はつくづく先のことは決められないと思います。私は今は少ししょげています。けれど失望はいたしません。何もかも耐え忍びます。もう四、五日の間お待ち下さいませ。
「よくなろうとする祈り」は少しずつ筆をすすめています。「母たちと子たち」は妹の次ぎに私が読ませてもらいましょう。
あなたは幸多き日々を送って下さいませ。私はどうも何もかも私のくわだてることは成就しないような気がしてなりません。けれど私の希みはますますはるかにそしてたしかになって行くばかりですから心配して
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