りませ。ここに魚と荒布とがございます。
俊寛 わしはもはや飲食はたったのだ。わしははやく死にたい。
有王 なぜそのようなことをおっしゃいますか、私が生きている限りはたとえご不自由とは申せ、海山をあさってもあなたを飢《う》えさせはいたしませぬ。
俊寛 あゝわしは生きていてどうするのだ。わしの手足にまだ力が残っていた間は、いかにもして一度|都《みやこ》に帰って敵《かたき》に一太刀《ひとたち》報《むく》いる望みがあった。お前からあの恐ろしい凶報《きょうほう》を聞いた時、わしがすぐに死ななかったのはただその希望のためのみであった。があまりに激しい悲しみはわしを打った。衰《おとろ》えきったわしの体を病気がむしばんだ。わしはもはやふたたび都の土を踏《ふ》む望みはない。一指《いっし》を加えることができないで敵とともに一つの天をいただくことは限りない苦しみだ。
有王 病気はなおすことができるではありませんか。命さえあればふたたび都に帰れないとは限りません。
俊寛 (苦しそうに)有王。この期《ご》に臨《のぞ》んでもはやまやかしごとを言ってくれな。
有王 でも寿命《じゅみょう》のある限りは。
俊寛 (さえ
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