しい。ご主人様。(砂の上に血の痕《あと》を見つける)おゝ。(血の痕をたどり、岩の上によじ、俊寛の死骸《しがい》を見つける)おゝご主人様。(俊寛を抱《だ》き起こす。すでに絶息《ぜっそく》しおるを知る。地に倒れる。やがて起き上がり俊寛を抱きしめる。慟哭《どうこく》す。沈黙。やがて俊寛の死骸を抱きつつ)あゝ、いたわしいご主人様。苦しい苦しいご生涯《しょうがい》でございました。なにゆえにあなたはこれほどの苛責《かしゃく》をお受けにならなければならなかったのか。それは私にもわかりません。あゝしかしあなたの悪夢のような、ご生涯《しょうがい》は終わりました。静かな平和な来世《らいせ》があなたを待っているように! (つくづくと俊寛の顔を見る)何という恐ろしい死に顔だろう。あゝご主人様、あなたは呪《のろ》うて死なれましたか。天を恨《うら》み、世を憎《にく》み、敵を呪うて、恐ろしい、恐ろしい考えを死ぬる際《きわ》まで持ちつづけて! あゝあなたの未来が恐ろしい。あゝ私がこの十年の間見てきたことは実に恐ろしい人生の相《すがた》であった。(沈黙。やがて決心したるごとく立ち上がる。死骸に向けて)有王はどこまでもど
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