せん。
親鸞 そのすまぬというこころを、ありがたいという心に、ふかめてくれ。
唯円 永蓮《ようれん》様が、さっき本堂で永蓮様が(新しく涙をこぼす)私の手をお握りあそばして、ゆるしてくれとおっしゃいました。私はたまらなくなりました。私はあのかたをお恨み申していたのですもの。
親鸞 あれは律義《りちぎ》な、いい老人じゃ。
唯円 私は空おそろしいような気がいたします。私のために皆様の平和がみだれるのですもの。けれどなんということでしょう。私は永蓮様のお心をやすめることができないのです。永蓮様は涙ぐんで私をじっと見ていらっしゃいました。ひとつの大切なことを私が保証するのを待つために。けれど私は、和解とゆるしを求めるこころで、きつくその手を握り返しただけで、大切なことを言わずにしまいました。……私にはできないのです。
親鸞 それもみなで祈ってきめなくてはならないことだ。まあ心を静かにするがよい。(間。唯円をしみじみ見る)お前はやつれたな。
唯円 眠られぬ夜がつづきました。こころはいつも重荷を負うているようでございます。
親鸞 恋の重荷をな。だが、その重荷も仏さまにおまかせ申さねばならぬのじゃ。そ
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