や、人がそう申しているという事ですよ。(かたくなる)お師匠様が黙っていらっしゃれば、あなたはなおさらつつしまなくてはなるまいかと存じます。お優しいのをいいことにして、思うがままのおふるまいは道であるまいと存じます。
僧三 それも良家の淑女というならまだしも、卑しい遊女などを相手にして。僧たるものが。浅ましい事でございます。
唯円 遊女ではありますが心は純潔な女です。
僧二 (僧三と顔を見合わす)あなたがだまされているのですよ。ことわざにも「傾城《けいせい》に誠なし」と申します。遊女などの申す言葉などあてになるものですか。
唯円 でもあの女ばかりはそのような女ではありません。私はむしろ私があの人を傷つけはしないかとそれを恐れているのです。
僧三 ほう。あなたはまだお若いからな。あなたをだますくらいたやすい事はありませんよ。あなたのひざに片手を置いて涙を一滴落として見せる――それだけの事ですよ。
唯円 私はあの人を信じています。
僧二 もしあの女がほんとうにあなたに対して何かの興味を感じているとしたら。まあ、好奇心でしょうよ。若い坊様ということにな。あなたはごきりょうがよいからな。
唯円 
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