い。では御用があったら呼んでくださいませ。(退場)
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本堂から晩のお勤めの鐘が聞こえる。
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親鸞 (寝床の上にて居ずまいを正し)南無阿弥陀仏《なむあみだぶつ》。南無阿弥陀仏。(目をつむる)
唯円 (登場)ただ今帰りました。(手をつく)[#「(手をつく)」は底本では「(手をつく」]
親鸞 あゝ、お帰りか。
唯円 おそくなりました。
親鸞 どこへ行きました。
唯円 木屋町のほうまで行きました。
親鸞 そうか。
唯円 暇どってすみませんでした。お夕飯は?
親鸞 さっき済ませました。お前の帰るのを待とうかと思ったけれど、先に食べました。
唯円 お給仕もいたしませんで。
親鸞 いいえ。(間)お前はまだだろう。
唯円 私は今夜はほしくありませんので。
親鸞 気分でも悪いのかえ。少しでもおあがり。(唯円の顔を見る)
唯円 いいえ少しせいて歩いたからでしょう。あとでまたいただきます。
親鸞 そうかえ。気をおつけよ。お前は丈夫なたちではないのだから。
唯円 ありがとうございます。今夜はお具合は?
親鸞 もうほと
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