た。待っていました。さあこちらにお通りください。だれも遠慮な者はいません。えらい所を見せますな。はゝゝゝ。
仲居 どうぞお通りくださいませ。
唯円 (座に通り、善鸞の前にすわる)先日は失礼いたしました。
善鸞 きょうは使いを立てて失礼しました。御迷惑ではありませんでしたか。
唯円 いいえ。あなたからのお使いと聞いて喜んで参りました。何か御用でございますか。
善鸞 いえ。用と言ってはありません。私はたださびしくってあなたに会って話したかったのです。
唯円 私もあなたに会いとうございました。
仲居 (新しい杯を持って来て唯円の前に置く)どうぞお持ちあそばしませ。
唯円 (もじもじする)私は飲みませんので。
仲居 でも一つ。
善鸞 いや、この人にはすすめてくれな。(唯円の不安そうなのを見て)私たちは少し話があるから皆あちらに遠慮してくれ。
仲居 かしこまりました。では皆さん。
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一同二人を残して退場。
[#ここで字下げ終わり]
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善鸞 このような所へあなたを呼んですみません。それに私はお酒に酔っています。
唯円 私はかまいませ
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