である。精神的理想を主張するものは、その意味で一方必ず社会改革の根本的運動に乗り出さずにはいられなくなる。そしてこのことは社会のすべての人たち、われわれも、青年も、娘たちもひとしくその義務をもっているものだ。大学出の青年、農村の青年たちの結婚の物質的基礎のことを考えると暗くならずにはいられぬ。この改革の努力を伴わずに理想だけを要求してもまだ通らない。しかしそれだからといって、社会改革ができるまでは、恋愛の理想をまげたり、低めたりしてもいいということはない。困難な現実の中でどこまで精神の高貴と恋愛の純情とをつらぬきうるかというところに、人間としての戦い、生命の宝を大事にするための課題があるのである。環境にエキスキュースを求めるのはややもすれば、精神的虚弱者のことであるのを忘れてはならぬ。恋愛は、ことに女性にとって、その人生の至宝の、三つとはない貴重なものである。その恋愛にできるだけ高い、大きな理想を盛らないことは実に惜しむべきことである。私は心ゆく限り、恋の願いに濃く、深く、あらんことをむしろ娘たちにのぞみたい。それは日本の娘の特徴でもあるからだ。恋を雑に、スマートに、抜け目なく、取り扱
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