ように恋愛から入らねばならないから、恋愛する態度は厳かで、純で、そして知恵のあるものでなければならない。互いに異性に交際する機会の少ない男女は軽速な恋に陥りやすいから相手を見誤らないように注意せねばならぬ。恐ろしい男子は世間に少なくないからだ。といって身の振り方をつけるためばかりに男子を見、石橋をたたいてみてから初めて恋をするというような態度でも困る。これは可愛らし気がなく、純な娘らしい雰囲気がなくなるからだ。恋愛は一方では、意識選択ではなく、運命[#「運命」に傍点]であるという趣きがあるということも必ず忘れてはならぬ。これが人生の神秘というもので、そういう感じがないと常識的、取引的、身の振り方をつけるための品定めのようになって恋愛のたましいがぬけるからだ。こんなふうにいうとむずかしい態度になるようだが、そこが造化のたくみで、純な娘の本能の中に、自分を保護する本能と相手を見わける英知とがおのずとそなわっているのだ。純真な娘であることが、やはり一番安全であるということになるのだ。「これは変だな」と思うようだったら、どこかあやしいのである。しかし自分の心に曇りがあれば、相手に乗じられて、相
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