型の常套的レディは次第に取り残され、新しき機能的なレディの型が見出されつつある。青年学生の青春のパートナーとして、私が避けたいのは媚を売る女性のみである。
私の経験から生じる一般的助言としては、「恋愛に焦《あせ》るな」「結婚を急ぐな」と私はいいたい。二十五歳までの青年学生が何をあわてることがあろう。美しき娘たちは後から星の数ほどむらがり、チャンスはみちみちている。あまり早期に同じ年ごろの女性と恋愛し、結婚の約束をしてしまうことは、後にいたってあまり好結果でないことが少なくない。ことに不幸な娘に同情してそうするのが一番よくない。年齢の差が少なくとも五つ、六つ――十くらいはありたいが、二十二、三歳で相手を求めればどうしても齢が近すぎる。といって、十四、五の少女では相手になれまい。
八 最後の立場――運命的恋愛
しかしこうした希望はすべて運命という不可知な、厳かなものを抜きにして、人間的規準をもって、きわめて一般的な常識的な、立言をしているにすぎないのである。
最も厳かな世界では一切の規準というものはない。そこでは恋愛もまた運命である。選択は第二義にすぎぬ。童貞の学生が年
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