を堅め、深くする方法ではあるまいか。
すなわち学校、孤児院の経営、雑誌の発行、あるいは社会運動、国民運動への献身、文学的精進、宗教的奉仕等をともにするのである。
[#ここから2字下げ]
二つ夫婦そらうてひのきしんこれがだいいちものだねや
[#ここで字下げ終わり]
これは天理教祖みき子の数え歌だ。
[#ここから2字下げ]
子をなさぬ二人がなかのめぐし子と守りてぞ行かな敷島の道
[#ここで字下げ終わり]
これは子どものないある歌人の詠だ。
ブース夫婦、ガンジー夫婦、リープクネヒト夫婦、孫逸仙と宋慶齢女史、乃木大将夫婦これらは、子どもの有無はともかく同じ公なる道、事業に心をあわせ、力を一つにして、夫婦愛が固くなったものだ。
[#ここから2字下げ]
やんごとなき仏にならせわがために死にしこころのそのままにして
[#ここで字下げ終わり]
これは自分の妻をあることで、苦しめ抜いたある真宗信徒の歌である。
夫婦愛というものは少しの蹉跌《さてつ》があったからといって滅びるようなものではつまらない。初めは恋愛から入って、生活と歳月の移るにしたがって、人生の苦渋にもまれ、鍛えられて、もっと大き
前へ
次へ
全11ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
倉田 百三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング