ネたと共に「生」というありがたき大事実を信仰したい。それからあなたと私とがともに生き(mitleben)てることを信仰したい。それから後初めて私の言いたいことをあなたに述べさせていただきたい。他人の生活態度と自分の生活態度と異なっているとき私らはどうすればいいであろうか。これは対人関係について神経質な私にとってはかなり煩わしい問題である。ひと口に異なった生活態度といってもその異なり方にはいろいろある。私はもとより個性の多様性を認めるものであるから、たとい生活態度は異なっていても、その態度がその人の本然の真実より、すなわち個性の必然より生ずるものと信じらるるならば、その態度を理解し、尊敬することができる。真実の友情はここに根底を置くべきものであろう。またその態度が土台から人格的の憎悪と軽蔑とを感じさせるようなものであるならば、頭から征服的の態度に出でてもいいかもしれない。けれども彼我の間には一脈の呼吸が隠々として通いながらも、その人の認識が深刻でないために、概念的の錯誤から、外面的には著しく異なった――というよりも相そむかねばならぬほどの態度が生じているのだと自分には思われるときにはどう
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