た》は老子様で?」
「いえ私は李白ですよ」
「いえ貴郎は老子様です」
東巖子は云い張った。
「どうぞ上座へお直り下さい」
李白は平気で上座へ直った。
数百羽の小鳥が飛んで来た。音を立てて庵の中へ入った。
そうして東巖子の頭や肩へ……いや小鳥は東巖子へは行かずに、李白の頭や肩へ止まった。すぐに李白は糞まみれになった。
今でも岷山のどの辺りかに、李白とそうして東巖子とが、小鳥を相手に日向《ひなた》ぼっこ[#「ぼっこ」に傍点]をして、住んでいる事は確かである。
底本:「国枝史郎伝奇全集 巻六」未知谷
1993(平成5)年9月30日初版発行
初出:「大衆文芸」
1926(大正15)年4月
※漢詩漢文の読み下し文の旧仮名づかいは底本通りです。また促音の大小の混在も底本の通りです。
入力:阿和泉拓
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年10月2日作成
青空文庫作成ファイル:
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