》の延棒《のべぼう》が、天井に大切に釣るしてあるのだ」「これは私《わし》には初耳だ」「ところで楽器というものは、分けても笛と鼓とはだな、黄金《おうごん》の気を感じ易い。名器になれば名器になるほど、黄金の気を強く感じ、必ずねいろが変化する。つまり一層微妙になるのだ。で鉱脈《こうみゃく》を探る時など、よく鉱山《かなやま》の山師などは、笛か鼓を持って行って、それを奏して金の有無《うむ》を、うまく中《あ》てるということだよ」
 黙って聞いていた平八は、思わずこの時膝を打った。「やれ有難い、いい事を聞いた。これで事情が大略《あらかた》解った。ははあなるほどそうであったか。鼓賊と呼ばれるその泥棒が、少納言の鼓を奪い取ったのは、その鼓を奏する事によって、目星をつけた家々の、金の有無《ありなし》を知るためだったのか。盗みも進歩したものだな。……よしよしここまで見当がつけば、後はほんの一息だ。きっと間違いなく捕えて見せる」
 踏む足も軽くいそいそと、本所|業平《なりひら》町一丁目の、自分の家へ帰って行った。

    千葉道場の田舎者

 北辰一刀流の開祖といえば、千葉周作成政であった。生まれは仙台気仙
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