璃窓めが殺されようとしている。……うん、こいつあうっちゃっちゃ置けねえ! こいつあどうしても助けなけりゃあならねえ。あっ、引き金を締めやがった! いけねえいけねえ間に合わねえ! 畜生!」
と怒鳴ると持っていた鼓を、種子ヶ島目掛けて投げ付けた。瞬間にド――ンと発砲された。
それから起こった格闘は、真に劇的のものであった。
少納言の鼓は種子ヶ島にあたり、鼓と種子ヶ島とは宙に飛んだ。で、鉄砲の狙いは外れた。玻璃窓の平八は飛び上がった。そうして丑松へ組み付いた。それを外した丑松は、逃げ場を失って北側の廊下を、西の方へ走って行った。そこへ飛び出したのが次郎吉であった。撲る、蹴る、掴み合う! やがて一人が「ウ――ン」と呻き、バッタリ仆れる音がした。二人の人間は立ち上がり、はじめて顔を見合わせた。
「玻璃窓の旦那、お久しぶりで」
「おっ、貴様は和泉屋次郎吉!」
「あぶないところでございましたなあ」
「それじゃ貴様が何かを投げて……」
「走って行っちゃ間に合わねえ。そこで鼓を投げやした」「ううん、そうして俺を助けた!」「へん、敵を愛せよだ!」「眼力たがわず和泉屋次郎吉、わりゃあやっぱり鼓賊だった
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