てやろう。それがいいというところから、数隻の廻船を賊船に仕立て、昔の手下を呼び集め、なにしろ赤格子と戦うには、兵糧もいれば武器もいる。やれやれというので近海を、荒らしまわったのでございますよ」さすがにそれでも気が咎《とが》めると見え、こういうと森田屋は俯向《うつむ》いた。

    ムーと絶望した郡上平八

「なるほど」といったが平八は、しばらくじっと打ち案じた。「どうだろう森田屋、この俺を、船からおろしてはくれまいかな」「船をおりてどうなされます?」「実は」というと平八は、森田屋の側へズイと寄り、「さるお方に頼まれて、大事の密書を預かっているのだ。渡す相手は赤格子、そこでこんな変装までして、彼奴《きゃつ》の行方をさがしていたのさ。銚子にいると耳にしては、どうも一刻もうっちゃってはおけない。頼む、小船を仕立ててくれ。そうして銚子へ着けてくれ」
 これを聞くと森田屋は、にわかに当惑の表情をした。「旦那、せっかくのお頼みですが、どうもそいつだけは出来かねますなあ」「なぜ出来かねる? え、なぜだ?」「秋山先生のおいでを待って、赤格子攻めをやろうというのが、私達の計画なのでございますよ。その先
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