。いうことがある」
 元の座敷へ戻って来た。
「さて甚内」と改まり、「思ったよりも立派な業だ。周作少なからず感心した。稽古して完成させるがいい。しかし小石では利き目が薄い、小石の代りに五寸釘を使え」
 それから周作は説明した。
「というのは剣道の中に、知新流の手裏剣といって、一個独立した業がある。俺も多少は心得ている。それをお前に伝授するによって、お前の得手のツブテ術に加えて、発明研究するがいい。以前から俺はそれについて、一つの考えを持っていた。……武士は平常《へいぜい》護身用として、腰に両刀をたばさんでいる。で剣術さえ心得ていたら、まずもって体を守ることが出来る。しかるに町人百姓や、なおそれ以下の職人などになると、大小は愚か匕首《あいくち》一本、容易なことでは持つことがならぬ。これは随分危険な話だ。そこで俺は彼らのために、何か格好な護身具はないかと、内々研究をした結果、見つけ出したのが五寸釘だ。ただし普通の五寸釘では、目方が軽くて投げにくい。そこで特別にあつらえてみた」
 こういいながら周作は、手文庫から釘を取り出した。
「見るがいいこの釘を。先が細く頭部が太く、そうして全体が肉太だ
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