、先決問題かと存じます」
「だが、どうして突き止めたものか」
「海賊係りを督励《とくれい》し……」
「駄目だよ、駄目だよ、そんなことは」
 駄々っ子のように首を振った。
「まさか海賊の張本へ、俺から物を渡すのに、幕府の有司は使えないではないか」
「これはいかにもごもっともで」
「どうだ、民間にはあるまいかな?」
「は、なんでございますか?」
「忍びの術の名人とか、それに類した人物よ」
 碩翁はしばらく考えたが、ポンと一つ手を拍《う》った。
「幸い一人ございます」
「おおあるか、何者だな?」
「郡上平八と申しまして、与力あがりにございます」
「うん、そうか、名人かな」
「探索にかけては当代一人、あだ名を玻璃窓と申します」
「ナニ、玻璃窓? どういう意味だ?」
「ハイ、見とおしの別名で」
「見とおしだから玻璃窓か、なるほど、これは名人らしい」
「命ずることに致しましょう」
「俺からとあっては大仰になる。お前の名義で頼んでくれ」
「その点|如才《じょさい》はございません」
 やがて碩翁は退出した。
 退出はしたが碩翁は、少なからず肝をひやした。いかに我がままが通り相場とはいえ、国家を毒する大
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