がもう一つ起こった。その同じ夜に谷中の辻で、掛け取り帰りの商家の手代が、これも一刀にしとめられ、金を五十両取られたのであった。
「おい観世、少し変だな」
その翌日道場の隅で、二人顔を合わせた時、造酒は銀之丞へささやいた。「我々がやったのは二人だけだのに、死人が三人とはおかしいではないか」
「うん、少しおかしいな」銀之丞は首をかしげ、「我々以外にもう一人、辻斬りをやったものがあるらしいな」「そうだ、どうやらあるらしい。それにしても不都合だな。殺したあげく金を取るとは」
二人はちょっと厭な顔をした。
「それはそうとオイ観世、人を斬ってどんな気持ちがしたな?」「平手、何んともいえなかったよ。まず一刀切りつけたね、するとカッと血が燃えたものだ。と思った次の瞬間には、スーッとそいつが冷え切ったものだ。頭が一時に澄み返り、シーンとあたりが寂しくなった。その時おれは思ったよ、生き甲斐がある生き甲斐があるとな」「ふうむなるほど、面白いな」「で、お前はどうだったな?」「真の手応え! こいつを感じたよ」「ふうむなるほど、面白いな」
翌晩またも辻斬りがあった。場所は上野の山下で、殺されたのは二人の武
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