い、危急を白法師へ告げに来たのだ。
「悪いことは申しませぬ。早くお逃げ遊ばすよう。白法師狩りの者どもが間もなくやって参りましょう。どうぞどうぞ、一時も早く山をお立ち去り遊ばすよう」
 云っているうちも気遣わしそうに岩太郎は四辺を見廻した。
「いや」
 と白法師は静かに云った。「私《わし》は何者をも恐れない。私は決して逃げはしない」
「危険でございます白法師様!」
「いや」とまたもしずかに云った。「いや私には危険はない。私には深い自信がある。……これまでも彼らは幾度となくこの私を捉《とら》えようとした。しかしいつも失敗であった」
「はいさようでございます。仰《おお》せの通りでございます。しかし今度は、今度ばかりは安閑としてはおられませぬ」
「それも私には解っておる。彼らは彼らの守り本尊を私に穢されたと思っているらしい。がそれは間違っている。……黄金の甲冑《かっちゅう》を盗んだものは私ではなくて他にある」
「おっしゃるまでもござりませぬ」
 岩太郎は頭を下げた。「尊い尊いあなた様がなんでさようなことをなされましょう。とは云え部落の者達は甲冑を盗んだはあなた様だと思い詰めておるのでござります
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